Turbo Delphi のインストール

なでしこの開発は Delphi で行われています。そのため、まずは Turbo Delphi をインストールします。

色々とインストール前の準備が面倒なので、2006年の ITpro の記事「フリーのTurbo Delphiで始めるWindowsプログラミング」を参考にするといいでしょう。2009年08月現在でもほぼこの記事の通りにすればインストールできます。IDEに必要となる依存ファイルが多いため割と準備が多くて面倒ですが、それさえ済めば後はBDNアカウントの登録ぐらいです。

なお、インストール前に必要なファイルが本家サイトから入手しにくい状態のようです。窓の杜などから手に入れられます: PrereqsJP.zip

また、 .NET SDK のインストールでは、カスタムインストール画面で「SDK」のチェックを外さないように気をつけましょう。うっかり外すと必要なファイルが足りなくなります。

Turbo Delphi をインストールして使用するためには、BDNアカウントからトライアル版使用許諾を取得してくる必要があります。記事では、使用許諾ファイルがメール添付されてくることになっていますが、今回は使用許諾ファイルが添付されていなかったので、記載されていたインストール番号インストールキーを初回起動時に入力しました。但し、初回起動時の実際の入力画面ではそれぞれ異なるラベル「Serial Number」「Authorization Key」で入力欄が設置されていたので注意が必要です。あとは(ネット環境があれば)すんなり登録が終わります。

去年インストールした際は、記事の指示通りメールに添付されていた使用許諾ファイルをユーザフォルダに置いたのですがねぇ。今回シリアルナンバー方式だったのは、既にBDNアカウントを登録済みで Turbo Delphi のトライアル版使用許諾を取得するのが2度目だったためかもしれません。

なでしこのコンパイル

次に、なでしこのコンパイルについてです。なお、なでしこのリポジトリは取得済みだとします。

バージョン管理システムSVNの導入やリポジトリの取得については、なでしこの開発Wikiの「Subversion」のページなどを参考にしてください。ちなみにソースを手に入れるだけなら、SVNを導入しなくてもできます。

dnako.dll

"dnako.dll"はなでしこの最も基本的なエンジンです。まずはこれをコンパイルしましょう。

"dnako.bdsproj"を Turbo Delphi で開いて、コンパイルするだけです。基本的に最初は、拡張子".bdsproj"のDelphiプロジェクトファイルを開きます。

「ファイル - プロジェクトを開く」でリポジトリの trunk 直下にある"dnako.bdsproj"を開くか、ファイルエクスプローラで"dnako.bdsproj"をダブルクリックすれば開くことができます(関連付け時)。

あとは、「プロジェクト - dnakoをコンパイル」もしくは「Ctrl + F9」でコンパイルするだけです。"dnako.dll"は、"plug-ins"フォルダ下に生成されます。

vnako.exe

次に、なでしこで最もよく使われる実行方式 vnako の実行ファイル"vnako.exe"をコンパイルしましょう。

先程と同様に、プロジェクトファイル"vnako.bdsproj"を開きます。しかし、開発Wikiにも書いてあるように、パスが通っていないとそのままではコンパイルできません。

そのため、まずは検索パスを通します。「プロジェクト - オプション」もしくは「Shift + Ctrl + F11」で「vnako.exe の プロジェクトオプション」を開きます。左の項目から「ディレクトリ/条件」を選択すると、「検索パス」という項目があるので、「…」をクリックしましょう。すると、検索パスの設定画面が開くはずです。

「vnako.exe の プロジェクトオプション」で「ディレクトリ/条件」を選択し「検索パス」を編集する。

初期設定では、検索パスは次のようになっています。

  • C:\svn\nadesiko\component\hedit251
  • C:\svn\nadesiko\component\TntUnicodeControls
  • C:\svn\nadesiko\component\GraphicEx

設定画面には、灰色はパスが存在しないことを表わしていますと書かれています。この"C:\svn\nadesiko"の部分を、実際の作業ディレクトリ(ワーキングコピー)に置き換えてやりましょう。例えば、dirというフォルダにリポジトリをチェックアウトしているなら、検索パスをそれぞれ次のように置き換えます。

  • dir\component\hedit251
  • dir\component\TntUnicodeControls
  • dir\component\GraphicEx

これでコンパイルが通るかな?と思ったら通りませんでした。エラー文によると、"vnako_unit\frmCalendarU.pas"が見つからない模様。検索すると"frmCalendarU.pas"というファイルが確かにない。どうやらAdd漏れだったようです。r168以降ではちゃんとリポジトリにファイルが追加されているので、コンパイルできるはずです。

これでめでたくコンパイルすることができます。コンパイルすると"vnako.exe"はdir直下に生成されます。"dnako.dll"などDLLファイルは"dir\plug-ins\"下に生成され、"vnako.exe"などEXEファイルは"dir\"直下に生成されるというわけです。

EXEGroup

じゃぁこの調子で"cnako.exe"や他のDLLファイルもコンパイルしよう!…と思っても、Delphiプロジェクトファイルを片っ端からいちいち開いてコンパイルする、というのでは面倒です。

そこで、プロジェクトをひとまとめにしたDelphiプロジェクトグループファイル"EXEGroup.bdsgroup"を開きましょう。すると、(デフォルト表示で)右側にあるプロジェクトマネージャペインに、"dnako.dll", "vnako.exe", … とプロジェクトが列挙されます。

このとき、デラックス版用のいくつかのファイルがないため、それらのプロジェクトを無視したことを伝える旨のエラーメッセージが表示されますが、特に問題はないので気にしなくてもいいでしょう。

すると、「プロジェクト - すべてのプロジェクトをコンパイル」で一気にコンパイルすることが可能です。また、プロジェクトマネージャで個々のプロジェクトを選択すれば、個別にプロジェクトを開いたり「プロジェクト - 〜〜をコンパイル」で個別にコンパイルすることもできます。